【知ってた?】フル液晶メーターは実はコスト削減目的?

コラム

 欧州車などを筆頭にフル液晶メーターが導入され始め、国産車でもフル液晶メーターを採用する車種が増えてきました。
高級車などにフル液晶メーターが搭載されていたという事もあり、フル液晶メーター=高級車装備というイメージに繋がり、「フル液晶メーターが付いている車は高級車」と解釈している人も多いのではないでしょうか。

また、フル液晶メーターには先進的なイメージも伴うため、「最新の車」という印象も同時に持つ方も多いと思います。

高級車に装備されたり、先進装備というイメージが先行しているので、「フル液晶メーターは高い」と思っている方も多いでしょうが、実はフル液晶メーターは効率的にコスト削減を行うことができるので各社搭載を進めているのです。

ではなぜコスト削減になるのか3つ理由をご紹介していきましょう。

部品の共通化

フル液晶メーターがコスト削減になる要因の一つとして「部品の共通化」という事があります。

基本的に大量生産されるような製品は、できるだけ同じ部品を流用することで1台当たりの製造コストを下げることが可能です。

いままで車種ごとに異なったデザインのメーターを採用することが多かったと思います。
兄弟車などでは一部共通のメーターが使われますが、基本的には車種ごとで違うデザインのメーターであることが多いです。

フル液晶メーターを採用することで、複数の車種にわたって部品を共通化することが可能ですから、コストを削減することができるのです。

例えば、フル液晶メーターを積極的に搭載し始めたメルセデスベンツのメーターを見てみてください。

Sクラス(W222)のメーター
Eクラス(W213)のメーター

上の写真はフル液晶メーターが搭載されたSクラス(W222)とEクラス(W213)になります。

メーター部分に注目してみると、同じ画面を採用していることがわかります。
メーター周りの装飾などは異なっていますが、メーター自体のユニットは同じものが使用されています。

もう一つ最近フル液晶メーターを多く採用しているトヨタ車を見てみましょう。

40系 新型アルファードのメーター
新型クラウンセダンのメーター

上の画像は新型アルファードとクラウンセダンですが、同じものが使用されていますよね。

こうすることで複数の車種で部品の共通化が可能になり、大量仕入れでコストを下げることが可能です。
トヨタに関しては、別ブランドのレクサスでも同じメーターを採用し始めているので、さらにコスト削減効果が大きいでしょう。

これが各社フル液晶メーターの搭載を進める一つ目の理由です。

フル液晶メーター自体のコストが安い

2つ目の理由は、フル液晶メーター自体のコストを抑えられるという理由が挙げられます。

というのも、フル液晶メーターが採用される前は物理的な針がスピードや回転数を指す「アナログメーター」が多く採用されていました。
今もアナログメーターの車は多いですね。
また、車によっては水温や油温、ガソリンの残量メーターなどもアナログで構成されています。

そうなると、それぞれのメーターに針や自発光の為のランプ、文字盤などの部品が必要になります。
また、高額な車両になると針や文字盤自体にも装飾がされている事があり、それもコスト増の原因になります。

さらには各種インジケーターや警報表示ランプなども一個一個ランプが仕込まれていたり、配置をデザインする必要があります。

しかも車種ごとにデザインが異なる場合は、車種ごとにパーツを作成する必要があるため、そこにもコスト増の原因があります。

以上の事を踏まえると、フル液晶メーターは情報を映し出す画面ユニットが一つあれば良いですから、今まで必要だった針や文字盤のパーツ、車種ごとのパーツが必要無いわけです。

また、ユニット自体は一回設計してしまえばパーツを使いまわせるため、アナログメーターのように毎回設計して金型を作成するよりもコストが安くなります。

よってフル液晶メーターはパーツ自体のトータルコストが安くなるわけですね。

これが2つ目の理由です。

プログラムを使いまわせる

3つ目の理由は、フル液晶メーターに映し出す情報は使いまわせるという点です。

フル液晶メーターに表示される内容というのは、私たちが使っているスマートフォンのようにプログラムされています。
要はこのプログラムを一回設計してしまえば、フル液晶メーターを採用するすべての車種で使いまわしができる為、車種ごとに割り当てていた開発費用が削減できるというわけです。

再度トヨタの例を出しますが、新型アルファードとクラウンセダンの見た目はほとんど同じですよね。
ドライブモード変更の際は車種ごとの画像が差し込まれるなど、一部使えたり使えなかったりする車種固有の違いはありますが、基本的な枠組みは同じです。
よって大きな枠組みをデザインしてしまえば、後は車種固有で機能を増減するだけでメーターの開発が可能なため、コストを抑える事が可能となるわけです。

しかもトヨタの場合はレクサスも同じメーターを使っており、表示内容が同じ車種も多いですから、その分だけコストを削減することができます。

プログラムを使いまわすことができるフル液晶メーターならではの理由というわけですね。

フル液晶メーターは効率的にコスト削減できる

以上3つの理由から、フル液晶メーターは今まで以上に効率的にコストを抑えることが可能となります。

さらに、フル液晶メーターは別の車種にも使うことができますから、今まで以上にコスト削減効果が大きいです。
よって最近急激にフル液晶メーターが増えてきたのはこういった理由があるわけです。

そこにフル液晶メーターの便利さやイメージが重なりメーカーとしては搭載すれば内装の質を上げることができる+コストを落とすことができるという2つのメリットが割るわけですね。

個人的にアナログメーターが良い

 各社フル液晶メーターを採用を急ピッチで進めていますが、個人的にはアナログメーターのほうが好きですので、フル液晶メーターの普及には考えるものがあります。

今の流れだと低価格な車から高級車まで、すべての車がフル液晶メーターになるのは時間の問題とみていますので仕方がないとも思っています。

しかしやっぱり物理的な針が動いて数値を示してくれるアナログメーターは、その機械的な動きや”味”があるので無くなっては欲しくないですね。

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