高速道路変動料金制(ダイナミックプライシング)でどうなる?

コラム

 ユニバーサルスタジオジャパンや東京ディズニーランドなどで、既に導入されている変動料金制。

簡単に言えば混み合う時期は料金が通常より高く設定され、閑散期は通常よりも料金が安く設定されるというもの。
東京ディズニーランドについては、混み合う時期はチケット代が1万円を超えるというニュースを見た方も多いかと思います。

この変動料金制はカタカナで「ダイナミックプライシング」と呼びますが、このほど高速道路料金にも適用されることが決定しました。

高速道路に変動料金制が採用されることで今後どうなるのでしょうか?

渋滞緩和が期待できる

ダイナミックプライシングの目的は、混雑時に料金を高くすることでテーマパークであれば混雑を緩和し、快適に利用できる環境を目指すというもの。

閑散期は逆に料金を安くして、お客さんを呼ぶことで売り上げを確保する狙いがある。
要は長い目で見て通年を通してお客さんの数を平準化するというのが大きな最終目標でしょう。

高速道路では社会実験としてアクアラインで2023年7月に導入され、それなりの効果が得られたといいます。
その結果を受けて適用範囲を拡大するに至ったわけです。

社会実験では、全体交通量は微増したものの、以前の混雑時期の交通量は減少しており、最終目標である量の平準化に近づいているという確かな手ごたえが出ました。

これが全国に適用されれば、特に混みやすい首都高や都市高速、その他の高速道路で発生している渋滞を緩和できるかもしれない。

混雑時間帯の料金が上がることで、その時間帯に利用していた人の一部は時間帯をずらしたりするでしょう。
逆に普段は高速道路を利用してこなかった人が、安い時期には積極的に利用する可能性もあります。

交通で一番面倒なのは高速道路を利用しているのに渋滞にはまるという何とも金の無駄遣い的な状況なので、変動料金制(ダイナミックプライシング)の導入には期待しています。

料金設定が肝

 変動料金制(ダイナミックプライシング)の効果は高速道路でも発揮されることが分かりましたが、実は料金設定が肝だったりします。

というのも、価格差が小さすぎてもあまり効果が出ないからです。

例えば社会実験で利用したアクアラインは、安い時は600円、高い時は1200円と最大600円の差がありました。
当初はやはり最大600円差が出るという事で、混雑時は車の量が減ったようですが時間がたつにつれて徐々に交通量が戻ってしまったみたいなのです。

それでも導入前よりは交通量が平準化されたので、まったく意味がないわけではないのですが、アクアラインの利便性を考えると、最大600円差があってもアクアラインを使う人が出てきたのではないかと思います。
特に経費で高速料金を払っているような法人用途だと、600円程度増えるよりも時間を短縮できる方が良いという考えになるところも多いのだと思います。

なのでこの料金差をもっと広げることができれば、さらに効果が期待できるのではないかと思います。

実は東京オリンピックの時に首都高が最大1000円上乗せされましたが、その時はかなり効果が出たようで、平日で10%、休日で25%ほど交通量が減ったらしく、1000円ぐらいになると大きな効果が期待できるみたいですね。

このように変動料金制(ダイナミックプライシング)は設定する料金が肝となるわけです。

弊害対策は必要

変動料金制(ダイナミックプライシング)は交通量の平準化には効果が出るという事がわかったの良いですが、導入することによる弊害にも対策をしなければなりません。

下道が混む可能性

東京オリンピック時に首都高で1000円上乗せされた際に交通量が減ったとお伝えしましたが、首都高に来なくなった車がどこを通るのか?

それは下道です。
首都高が値上げされた時にしわ寄せが来るのは下道になるので、高速道路は交通量が減ったけど次はただでさえ混んでいる下道がさらに混雑して全然動かなくなるという事が発生する可能性があります。

ここに何かしら対策を講じなければ、下道が混みすぎて進めないので結局首都高を通る車が増える可能性があり、変動料金制(ダイナミックプライシング)を導入した意味がなくなる可能性があります。

公共交通が混む

変動料金制(ダイナミックプライシング)によって繁忙期に自家用車を使わなくなった人が代替する手段というと公共交通機関です。

特に長距離ともなると新幹線などが多いでしょう。
そうなれば、繁忙期に新幹線が今よりも混むことになり今度はそっち方面で問題が発生する可能性があります。
JRでは一部繁忙期に自由席として提供している席を指定席にする対策などを講じていますが、高速道路に変動料金制(ダイナミックプライシング)が導入された場合の影響は未だ不確定です。

それ以外にも運用していくうえで何かしら問題が出てくると思うので、そこをどうやって解決するかが変動料金制(ダイナミックプライシング)を導入し継続していくためには大事になるでしょう。

いずれにしても一旦導入してみないとわからない

変動料金制(ダイナミックプライシング)の有用性は分かりましたが、社会実験は狭い範囲行われるので、全国に導入した場合の影響は結局のところ導入してみないとわかりません。

なので、実際に変動料金制(ダイナミックプライシング)を導入した後に発生する諸問題について、どのように対策するかも重要な課題になるでしょう。

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