最近は軽自動車でも搭載されるようになってきた電動パーキングブレーキですが、意外とどういった仕組みで作動しているかをご存じない方も多いようですね。
イメージとしては、駐車時にかける「パーキングブレーキ」が電動になったんだろうなというところでしょうが、実際にどういった仕組みかまでご存じない方も多いと思います。
という事で、今回は電動パーキングブレーキがどういった物で、どういったメリットがあって、どういった仕組みで作動し、万が一の際はどうすればよいのかをご紹介していきたいと思います。
ちなみに電動パーキングブレーキは、しばしばEPBと略されます。
これは、「Electric Parking Brake」を略してEPBになります。
手や足でかけていたパーキングブレーキを電動化したもの
いきなり結論になってしまいますが、電動パーキングブレーキは以前まで手や足でかけていたパーキングブレーキが電動化されただけのものになります。
拍子抜けするぐらいそのまんまなのですが、嘘をつく必要もないのでそのまま伝えています。
サイドブレーキと呼ぶ方もいますが、電動パーキングブレーキが無い時代は、手で引いたり足で踏んだりすることが多かったです。
ギィーとか音がしますよね。
それが電動化されることで、力いっぱい引いたり踏んだりしなくてもブレーキがかかるようになりました。
大体シフトレバーの近くに電度パーキングブレーキ用のスイッチが装備され、それを操作することで簡単にパーキングブレーキをかける・解除することが可能となります。
では電動パーキングブレーキはどうやって作動しているのでしょうか。
電動パーキングブレーキはモーターの力でブレーキをかけている
電動パーキングブレーキは、その名の通り電気の力でブレーキを掛けます。
乗用車のパーキングブレーキは、基本的に後輪にかかることが多いのですが、後輪のブレーキ機構の中に電動パーキングブレーキ用のモーターが搭載されており、運転席で電動パーキングブレーキの操作をすることで、そのモーターが動き、ブレーキを掛けたり解除したりしてくれるようになっています。
電動パーキングブレーキが出始めたころは、後輪がディスクブレーキの車が多かったです。
それは、ディスクブレーキや電動パーキングブレーキが高級車に搭載されていることが多かったという事もあるのですが、動作機構が簡単に装備できたという理由もあります。
ディスクブレーキでの例を出すと、電動パーキングブレーキ用にモーターとピンが後輪ブレーキに仕込まれています。
そのピンが、モーターの力で押し出されることによって、ブレーキパッドをローターに押し込み、制動力を発生させています。
意外と簡単な仕組みなんですよね。
電動パーキングブレーキのメリット・デメリットは?
電動化により非常に簡単に操作できるようになった電動パーキングブレーキですが、手動だったものを電動化したことでどのようなメリット・デメリットがあるのかを紹介していきます。
電動パーキングブレーキのメリット
電動パーキングブレーキのメリットを箇条書きしてみました。
一つ一つ見ていきましょう。
まず、力の有り無しに関わらず同じ強さのブレーキをかけることができます。
これは、今まで手動で引いていたレバーなどは引く人の力によってかかり具合が変わるのに対して、電動パーキングブレーキの場合は誰が操作してもモーターが働きます。
20代のムキムキマッチョマンが操作しても、80代のおじいちゃんがひいても同じ力でブレーキをかけることができます。
若い人にとってはそこまで気になりませんが、高齢者や病気などで力強くパーキングブレーキをかけることができなかった人にとっては非常にうれしいですね。
次にシフトレバーとの連動で、解除忘れやかけ忘れを防止できる点ですが、電動化されたことにより、操作を車自身も操作できるようになりました。
手動パーキングブレーキは、解除し忘れて発進しても警告音が鳴るだけでブレーキはかかったままになりますし、車を駐車後運転手がパーキングブレーキをかけ忘れた場合は警告音すらも鳴りません。
坂道などでは勝手に車が動き出すなどの事故も発生する可能性があるため、かけ忘れは防止したいところです。
車自身がパーキングブレーキを操作できるようになったことで、例えばシフトレバーをDレンジに入れた段階で、自動的にパーキングブレーキを解除することも可能ですし、トヨタやレクサスなどはその機能が備わっています。
また、シフトをPレンジにした段階で、連動してパーキングブレーキをかけることも可能になり、忘れ防止になります。
また、他社であればある一定の条件下(シートベルトをしていてDレンジに入っている)であれば、アクセルを踏んだ段階でパーキングブレーキが解除されるという動作もあります。
このように、電動化することで各種機能と連動できるようになりました。
また、電動パーキングはスイッチのみで操作できるようになったので、今までのように大きなレバーやブレーキペダルの横に専用のパーキングブレーキペダルを設置しなくてよくなりました。
その結果、今までレバーを設置していた場所が有効活用できるようになり、手引き式であれば収納やデザインに使えるようになり、足踏み式であればそのペダルが無くなることで足元が広くなります。
電動パーキングブレーキのデメリット
次に、電動パーキングブレーキのデメリットですが、3つ挙げました。
一つ目に関しては、仕事などでいろいろな車に乗る機会が多い方や、一家に何台も車がある場合に、普段電動パーキングブレーキの車に乗っていると手動式の車に乗ったときに忘れやすくなります。
特に、シフトレバーと連動する車であれば、なおさらそうでない車に乗ったときに忘れやすくなります。
よって、車に乗った際に意識して「この車は手動か電動か」という事を確認すると良いでしょう。
電動パーキングブレーキはその名の通り電気の力で動きます。
車で電気を貯めているのはバッテリーですが、そのバッテリーが上がってしまうと電動パーキングブレーキを操作できなくなってしまいます。
とある例を出すと、バッテリー上がりを起こした車で、復旧のために移動したい場合に、バッテリーが上がっているためパーキングブレーキを解除することができず、動かすことができない!なんてこともあります。
よって、電動パーキングブレーキ搭載車は、よりバッテリー上がりに気を付けたいところですね。
最後はあまり一般の人には関係のない話ですが、モータースポーツにおいてパーキングブレーキをドリフト走行に使用するという技がありますが、電動化されるとそれができなくなります。
なので、SPORTS用途の車種では敢えて手動式のパーキングブレーキを残しているケースもあります。
この辺はほとんどの方はあまり関係ないデメリットだとは思いますが。。。
電動パーキングブレーキでバッテリーが上がったら?
電動パーキングブレーキを使っている際にふと頭に思い浮かぶのが「トラブル時はどうしたらいいのだろう」ですね。
今までに無かった方式のパーキングブレーキですから、トラブル時に何をどうすればいいかわからない方も多いと思います。
特に多いトラブルと言えばバッテリー上がりだと思います。
基本的に電動パーキングブレーキはバッテリーが上がると操作ができなくなるので、解除することもかけることもできません。
とある例としてバッテリーが上がった場所が何でもない場所ならいいのですが、例えば機械式駐車場などであれば、救援してもらうにも一旦車を出さなければ他の利用者に迷惑が掛かります。
その際の対処方法を紹介したいと思います。
が、実は共通の解除方法というものはありません。
強いて言えば後輪のブレーキをばらす方法であればどの車でも可能ですが、緊急時に現実的ではありません。
しかし共通の解除方法が無いだけで、車種によっては解除方法が用意されていることがあります。
例えば、日産の電気自動車「リーフ」は以下の要領で解除できるようです。
一番良いのは、車の取扱説明書を読むか、ディーラー担当者に聞いてみるのが一番ですね。
万が一が起きる前に一度自分の車が手動で解除できるのかどうかを確認すると良いでしょう。
また、これらは一例で、どれかが必ず使えるわけではなく、本当に何もできない車種もあります。
その場合はどうにかしてバッテリーを復活させて、電動パーキングブレーキを解除するしかありません。
その場合は、JAFやロードサービスを待たずに「ジャンプスターター」と呼ばれる機器を使って素早く復旧させる方法も考えた方が良さそうですね。
ジャンプスターターはいわばモバイルバッテリーで、上がったときに車のバッテリーを充電することで復旧させるという機器です。
上がったバッテリーにジャンプスターターを繋いで操作するだけで、復旧できますし、大きくもないので一つ購入して車に積んでおくのも良いかと思います。
電動パーキングブレーキ(EPB)は増えていく
電動パーキングブレーキについていろいろ書いてきました。
昔は高級車のみの装備だったのですが、今現在では軽自動車にも積極的に搭載されるようになりました。
また、ディスクブレーキの車に電動パーキングブレーキが搭載されることが多かったのですが、今では後輪がドラムブレーキの車でも搭載されるようになってきているため、今後ますます搭載車種は増えていくと思われます。
便利な装備ですから、搭載車種が増えることに関しては非常に賛成ですが、まだまだ新しい装備ですから、トラブル時などに対処できるように、事前に勉強しておくなども必要ですね。
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